宮崎県に新幹線を走らせるという長年の夢は、今ようやく現実に向けた第一歩を踏み出しました。美しい海岸線と豊かな自然に囲まれた宮崎県が、新幹線空白県という状況から脱却しようと立ち上がっています。
その背景には地域経済活性化や観光振興への大きな期待がある一方で、莫大な費用負担や人口減少といった現実的な課題も横たわっています。
東九州新幹線計画は宮崎県民の悲願でありながら半世紀以上着工されずにいました。しかし今、県や地元経済界の熱意z、そして全国的な議論の高まりによって、かつてないほど実現への機運が高まっています。
感情に訴える郷土への想いと、専門データに裏付けられた現実的視点──その両方を胸に、宮崎に新幹線がもたらす未来を考えてみましょう。
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宮崎県を通る東九州新幹線は、1973年に全国新幹線網の基本計画路線に位置づけられた歴史ある計画です。
福岡市(博多)から大分市・宮崎市を経由し鹿児島市(鹿児島中央)に至る九州東岸縦貫ルートで、当時から地域の期待は大きかったものの、半世紀以上着工されずに今日まで至りました。
その理由には、予想需要の少なさや採算性の問題、国の予算優先順位、沿線自治体間の調整難航などがあり、宮崎は九州で新幹線が通らない“陸の孤島”となってきたのです。
しかし近年、宮崎県はこの状況を打破すべく大きく動き始めました。2023年、政府の骨太の方針に基本計画路線の検討が明記されたことも追い風となり、県は独自にルート調査を実施しました。
県の方針としては、まず東九州新幹線を国の整備計画路線へ格上げしてもらうことを目標に掲げ、必要なデータ収集と県民の機運醸成に力を入れています。
2024年度には調査費を県予算に計上し、ルート案の比較検討を行いました。その結果明らかになったのが、3つの具体的ルート案と、それぞれの所要時間・整備費などの試算です。宮崎県はこれらの数値を公表し、県民や国への説明材料とするとともに、新幹線誘致に向けた議論を本格化させています。
現時点で想定される新幹線開業時期について、県は2045年頃に着工し2060年開業を一つの目安としています。今から約35年後という気の遠くなるような長期計画ですが、それだけ将来世代のための大事業と位置付けて腰を据えて取り組む覚悟と言えるでしょう。
県の河野俊嗣知事も「まず10年以内に整備計画路線への格上げを目指し、2060年の開業を視野に粘り強く取り組む」と表明しており、その本気度が伝わってきます。宮崎の未来の足を作るため、長期戦も厭わず挑む方針なのです。
宮崎県の調査で浮上した3つのルート案は、経路や特徴がそれぞれ大きく異なります。以下で比較してみましょう。
「日豊本線ルート」は国の基本計画に沿った沿岸(大分経由)フル規格ルートで、小倉(北九州)~大分~宮崎~鹿児島中央を結びます。
想定所要時間は博多~宮崎間が約1時間38分で、現在の高速バス+新幹線(B&Sみやざき利用、約3時間半)から2時間近く短縮されます。
宮崎~博多の移動がグッと身近になり、観光やビジネス交流が飛躍的に便利になるでしょう。
一方、整備費用は約3兆8100億円と3案中最多で、距離が長大な分コストが巨額になります。県の試算では費用便益比(B/C)は1.2と一応プラスですが、(後述するように)これは楽観シナリオで算出した値であり、厳しめに評価すると1を下回る可能性もあります。
輸送需要は沿線全体では1日約1万2千人と見込まれ最も多いものの、県南部(都城・日南地域)では2000~3000人程度まで落ち込むと推計されており、地域によって利用に差が出そうです。
つまり宮崎県北~大分方面の需要は高い反面、県南エリアの需要掘り起こしが課題となるでしょう。
「新八代ルート」は、九州新幹線(鹿児島ルート)の新八代駅(熊本県)と宮崎駅を結ぶ内陸ショートカット案です。
全長約141kmで、宮崎市から県西部を横断して熊本方面へ抜け、新八代で既存九州新幹線に合流する形になります。
最大の特徴は所要時間の短さで、博多~宮崎間が最速1時間24分と3案中最短です。熊本経由とはいえ大きな遠回りにはならず、現行のB&Sルート約3時間半から一気に半分以下に短縮されます。
福岡~宮崎の移動がほぼ日帰り感覚となり、ビジネス利用など安定需要の取り込みに有利でしょう。
整備費は約1兆5000億円で、3案の中では中程度。B/Cは日豊ルートと同じく1.2と試算されています。投資効率が良く、山が多い内陸ルートですがトンネルや高架橋で直線的に結ぶことで工事費を抑える狙いです。
輸送密度は約8710人/日と予測され、日豊ルートよりは少ないものの宮崎~熊本~福岡の強力な流動を拾えるため、十分な需要が見込める数字です。
課題は、この区間が国の基本計画に含まれていない点です。
新八代~宮崎は国計画外の“独自ルート”となり、整備計画への格上げにはハードルがあります。
また県北(延岡市など)を経由しないため、宮崎県北部に恩恵が及ばないとの指摘もあります。
実際、県北住民のアンケートでは新八代ルート支持は僅か3.5%で、多くが基本計画通りの日豊ルート支持でした。
沿線地域間の公平性や、新八代ルートを整備する場合に大分・延岡方面をどうフォローするかも議論のポイントです。
「鹿児島中央先行ルート」は、鹿児島中央~宮崎間(約103km)の区間を先に整備し、宮崎から一旦南下して鹿児島中央駅で九州新幹線に乗り換える案です。
所要時間は博多~宮崎間で約2時間12分となり、他2案より長くなります。
遠回りになる分、福岡へは鹿児島経由で乗換えが必要ですが、それでも現在(在来線特急や高速バス利用)の4時間以上に比べれば約2時間の短縮です。
このルートのメリットは整備費用の少なさで、約1兆600億円と唯一1兆円台前半に収まります。宮崎~鹿児島間だけに絞れば比較的低コストで、「まず一部でも新幹線を開業させたい」という現実的戦略とも言えます。
しかしB/Cは1.0とギリギリで、輸送密度予測も5701人/日と3案中最低です。
鹿児島市という大都市を抱えながら需要が伸び悩むのは、福岡方面への直通性に欠けるためです。
宮崎~鹿児島間のみでは利用範囲が限定され、結局博多に出るのに乗換えが発生するため、ビジネス客などは敬遠する恐れがあります。
とはいえ、この案には段階的整備という戦略的意味があります。
まず宮崎~鹿児島中央だけでも開通すれば、宮崎県は悲願の「新幹線開業」を一部実現できます。
それ自体が大きな成果となり、県民の機運もさらに高まるでしょう。その勢いで残る区間(宮崎~大分方面)の整備を後押しする狙いもあります。
また鹿児島県としても自県内延伸で協力を得やすい利点があります。
低コストでスタートし徐々にネットワークを広げるアプローチとして、一考に値する案です。
上記のルート比較からも分かるように、実現には国の計画格上げが不可欠です。
日本の新幹線制度では、まず基本計画路線として構想路線を定め、次に整備計画路線に昇格して初めて工事に着手できます。
宮崎の東九州新幹線は現在「基本計画」段階なので、国が整備計画に認めないと具体的な測量・用地買収すら始まりません。
国が整備計画を決定するには厳しい条件があり、特に財務省が定める新幹線着工5条件を満たす必要があります。
その内容は簡潔に言えば以下の通りです:
宮崎県の試算では3ルートともB/Cが1以上となりましたが、これは将来の経済成長を仮定し、割引率を1%と低く設定したケースです。
現行基準の割引率4%で計算し直すと、日豊・新八代ルートで約0.5、鹿児島先行は0.4と全て1を下回ります。
つまり国の通常基準では投資効果が不十分とみなされかねない状況です。財政当局も「5条件全て満たす場合のみ着工すべき」との慎重姿勢を崩しておらず、宮崎新幹線が国に認められるためにはこの数字の問題をどう乗り越えるかが最大の焦点です。
また、JR九州の同意と並行在来線問題も重要です。
JR九州は既存新幹線の経営や在来線収支への影響をシビアに見るでしょう。
新幹線開業で在来線特急が減ることによる収入減や運行コスト増が懸念され、採算が取れないと判断すれば消極的になります。
並行在来線についても、後述するように地元が第三セクターで引き受ける覚悟が問われます。
要するに国・JR・自治体の三者がWIN-WINになる計画でなければ着工は難しいというのが現実です。
宮崎県はこれらハードルを踏まえ、国への働きかけを強めています。2024年末に調査結果をまとめ、2025年1月には「みやざきの新幹線を考えるシンポジウム」を県主催で開催。
また大分県とも連携し、九州東部400万人の潜在需要を訴えながら機運を盛り上げています。国土強靭化(災害時の代替路線)や地方創生の観点から投資意義をアピールし、5条件の緩和や特例を引き出せるか──今後は国との粘り強い交渉も鍵となるでしょう。
(イメージ画像)並行在来線
宮崎の計画を語る上で、他地域の新幹線整備事例から学べることも多いです。
例えば、北陸新幹線は1973年に基本計画決定後、長野~金沢(1997年・2015年開業)そして金沢~敦賀(2024年開業)と、数十年かけ段階的に延伸してきました。
沿線自治体の熱心な誘致と費用負担受け入れによって着実に前進しています。
一方、北海道新幹線は国家的プロジェクトとして推進され、2016年に新青森~新函館北斗が開業、2030年度には札幌まで延伸予定です。
東京~札幌直結という大義がありますが、広域ゆえに単体採算は厳しく、巨額費用と難工事(長大トンネル)を伴う点が課題です。また九州では、西九州新幹線(長崎ルート)が佐賀県との調整難航により武雄温泉~長崎間の部分開業(2022年)に留まっています。
並行在来線(長崎本線一部)の扱いで佐賀県が反発し、フル規格断念に至った経緯は、沿線自治体の合意形成がいかに重要かを示しました。このように、
それぞれ成功と苦労の教訓があります。
宮崎も「一気に全通が難しければ部分開業から」「国土軸形成など大義を掲げる」「地元の合意を事前に固める」など、先行事例を踏まえた戦略が必要でしょう。
宮崎県は九州南東部に位置し、温暖な気候と豊かな自然に恵まれています。
その反面、交通の不便さが長年の課題でした。
東側は太平洋、北西側は山地に阻まれ、隣県とのアクセス路が限られています。
現在、県外とを結ぶ主要交通は飛行機(宮崎空港から東京・大阪・福岡等)か、高速バス・在来線特急です。
福岡へは飛行機なら約1時間ですが空港アクセスを含むと時間と費用がかかり、在来線特急にちりんで博多まで4時間以上、直通高速バスでも4時間半前後かかります。苦肉の策として、博多~新八代を新幹線、そこから宮崎までをバスで結ぶ「B&Sみやざき」というリレー方式も導入され、3時間半ほどで博多~宮崎を結んでいます。
それでもやはり所要時間は長く、遠い宮崎のイメージは拭えません。
新幹線がもし宮崎に開通すれば、このイメージが一変する可能性があります。観光面ではアクセス改善が大きな追い風になります。
高千穂峡や青島、日南海岸など全国的観光地を抱えながら行きにくいために敬遠されていた宮崎に、人がぐっと来やすくなるでしょう。
実際、新幹線がないから修学旅行に行けないと関西の学校に言われたという地元宿泊業者の嘆きもあります。
新幹線、未来見据え議論
宮崎でシンポジウム [宮崎県]:朝日新聞
新幹線開業で博多や大分から気軽に宮崎を訪れられるようになれば、教育旅行や国内ツアー誘致にも有利になります。
また、ビジネス面でも交流人口の拡大が見込まれます。
宮崎から福岡・大阪などへの出張が日帰り圏内となり、企業進出や人材往来が活発になるでしょう。
地元企業も新幹線で各都市と直結すれば商談や取引が円滑化し、宮崎に拠点を置きながら全国展開することも容易になります。
地元の若者にとっても、「宮崎に住みながら都会とも繋がれる」新たなライフスタイルが実現するかもしれません。
一方、人口減少と需要維持という課題もあります。
宮崎県の人口は約107万人(2020年)から減少が続き、2040年には87万人程度まで減る予測です。利用客の中核となる生産年齢人口も縮小していく中で、将来、期待したほど利用が伸びない懸念も指摘されます。巨額の投資に見合う需要が本当に確保できるのか、不安視する声もあります。
しかし、交通インフラは鶏が先か卵が先かの側面があります。便利になることで人や企業が集まるという正の循環も期待できるのです。事実、九州新幹線開業後に鹿児島市の観光客数が増加し、北陸新幹線開業で金沢市の交流人口が大幅増となった例もあります。
宮崎も新幹線開業を地域活性化に結びつけるため、観光資源の磨き上げや企業誘致策、住みやすい街づくりなど受け皿整備を並行して進めることが重要でしょう。そうすれば、新幹線は単なる交通手段ではなく、地域の可能性を広げる起爆剤となり得ます。
(イメージ画像)並行在来線
新幹線開業には並行在来線の経営分離というセットの課題がついてまわります。
新幹線と並行する在来線区間はJRが経営から手を引き、地元第三セクターに転換するのが原則だからです。
東九州新幹線の場合、日豊本線などが該当します。例えば日豊本線ルートが実現した場合、小倉~大分~宮崎~鹿児島中央間の長大な区間をJR九州がそのまま抱えることはまずなく、宮崎県内では日豊本線の延岡~宮崎~鹿児島間が経営分離の対象となるでしょう。
そうなると、現在JR九州が運行する特急「にちりん」「ひゅうが」や「きりしま」は廃止され、在来線は各駅停車中心のローカル輸送へ移行する可能性があります。
第三セクター鉄道への転換は、運賃値上げや自治体の財政負担増にもつながります。地元にとって二次交通の利便性低下が現実問題となりかねません。
直近の例では、西九州新幹線(長崎ルート)開業時にJR九州は並行する長崎本線肥前鹿島~諫早間の経営を手放し、上下分離方式(線路施設は県管理、JR九州が普通列車のみ運行)に移行しました。
特急列車は全廃され、地域の移動は大きく制約されています。宮崎でも、新幹線が来れば特急が不要になる一方、県北(日向・延岡方面)のように新幹線経由だとかえって遠回りになる地域もあります。
例えば延岡市から博多へ行く場合、素直に日豊本線特急で北上した方が早いケースもあり得ます。新八代ルート案が県北で不人気なのも、そのあたりの不安が背景にあるでしょう。
新幹線開業で逆に不便になったとならないよう、地域内交通の維持策を考えておく必要があります。バス路線の充実やBRT導入、在来線の観光列車化など、宮崎県や沿線自治体は新幹線と在来交通の共存を図る方策を検討すべきでしょう。
もちろん理想は、在来線も含めJR九州が責任を持って運行を続けてくれることです。しかしJR側にとっては採算悪化要因であり難しいのが現実です。
ゆえに、並行在来線についても地域の覚悟が問われます。新幹線の恩恵と引き換えに、一部区間は公的支援で鉄道を維持するか、あるいは思い切ってBRT(バス高速輸送システム)など他モードに転換するか、早めに議論しておくべきでしょう。「新幹線が来たけどローカル線が衰退した」では本末転倒です。
地域住民の生活足や観光客の2次移動手段をしっかり確保してこそ、新幹線効果を最大限生かせるのです。
東九州新幹線構想に対する世論の声は多様です。
宮崎県内では期待が非常に大きく、全26市町村長アンケートでも約8割が「新幹線整備に賛成」と答え、特に「日豊本線ルートが望ましい」という声が多数でした。
テレビ宮崎の県民調査でも「新幹線は必要」が約6割を占め、「もちろん欲しい。できたらとても助かる」といった熱望する声や、「中心街の起爆剤になる」と地元経済界の期待も伝えられています。
長年「なぜ宮崎に新幹線がないのか」と悔しい思いをしてきただけに、実現への期待と興奮は大きいのです。
一方、インターネット上では冷静な意見や懐疑的な見方も見られます。
県外の鉄道ファンや識者からは
「人口規模的に採算が合うのか」
「2060年に宮崎の需要がどれだけ残っている?」
「巨額の借金をしてまで必要か」
といった指摘が上がっています。
また、西九州新幹線の例から「途中までしか開業しない半端な形は意味がない」という声や、「まずは在来線の高速化で十分では?」との代替案も見られます。
特に佐賀県が難色を示した長崎ルートの経緯から、「宮崎も国に相手にされないのでは」と悲観的な見解を示す向きもあります。
それでもなお、SNSでは「生きているうちに宮崎新幹線に乗りたい!」と切実に願う県民の投稿や、「孫の世代にはぜひ実現を」と長期戦を覚悟するコメントも多数見受けられます。
肯定派も慎重派も含め、宮崎の新幹線についてこれだけ議論が盛り上がっていること自体、実現への大きな一歩と言えるでしょう。
今後も県は丁寧に情報発信し、県民や全国の理解を深める努力を続けていく必要があります。
宮崎の新幹線構想を語る上で、南海トラフ巨大地震など災害リスクも話題に上がります。
宮崎県は太平洋沿岸に位置し、将来的にマグニチュード8〜9級の地震と津波が懸念されています。こうした中、新幹線を「命の道」として位置付けるべきとの声があります。
災害時に道路や空港が被災しても、新幹線なら早期復旧し大量の救援物資や人員を運べる可能性があるからです。事実、東日本大震災では東北新幹線が約1か月で全線復旧し、被災地支援の流れを支えました。
東九州新幹線が整備されれば、九州を東西2本の高速鉄道が走ることになり、一方が被災してももう一方で代替輸送ができるというリスク分散効果も期待できます。
もっとも、「沿岸部に巨額投資をしても津波で被災したら無駄になる」との慎重論もあります。
しかし、新幹線の設計は高度な耐震・防災基準に基づいており、高架橋を高くする・防潮堤と併設するなど工夫次第で津波リスクに備えることも可能です。
何より、南海トラフ級の災害に備える国土強靭化策として東九州新幹線を位置づければ、国の理解を得る大義名分にもなります。
災害時のバックアップ路線確保は宮崎だけでなく日本全体の利益にも通じます。逆境を逆手に取り、「防災インフラ」としての新幹線という視点をアピールすることも、宮崎にとって有効な戦略と言えるでしょう。
壮大なプロジェクトである新幹線整備には、巨額の費用負担が伴います。
東九州新幹線の整備費はルートによって1~4兆円規模にのぼりますが、この費用は基本的に国が2/3、沿線自治体が1/3を負担します。
仮に3兆円規模の事業なら約1兆円を沿線で負担し、宮崎県にも数千億円単位のツケが回ってきます。県単独の年予算規模を超える負担であり、結局は県債(借金)を発行して将来世代に返済してもらう形となります。
開業後の維持費や並行在来線支援も考えると、将来世代への重荷になるという懸念は無視できません。
しかし、単純な費用対効果では測れない経済的波及効果も見逃せません。
新幹線整備による時間短縮は、生産性向上や企業活動活発化といった効果を生みます。また観光客増による消費拡大、建設期間中の雇用創出など、多面的な便益があります。県の試算でも、経済成長が続く前提で事業費を上回る効果が得られるとの結果が示されました。
さらに、新幹線建設そのものが長期にわたる公共投資として地域経済を潤す側面もあります。トンネル掘削や高架橋建設で地元建設業に仕事が生まれ、人々の所得や消費が増えます。
つまり、新幹線は地域経済のエンジン**としての役割も果たすのです。
地方にとって高速交通インフラは金額以上の価値があります。例えば「新幹線の駅がある県都」というだけで企業や大学の誘致力が高まり、人材定着にも寄与します。
宮崎市が新幹線停車駅になれば、将来的な発展可能性が飛躍的に広がるとの見方もあります。もちろん、絵に描いた餅で終わらせないためには、投資に見合う利用を創出する努力が必要です。
県は国に対し、地方負担の軽減措置(財政支援や交付税措置)を求めつつ、費用を抑える工夫(例えば一部区間の先行整備や在来線活用案など)も模索しています。
県民に対しても未来への投資であることを訴え、理解と協力を求めています。
最終的には日本全体で宮崎に新幹線を通す意義を共有し、応援してもらえるかが成功のカギでしょう。
A1. 宮崎県を通る東九州新幹線は1973年に基本計画路線となりましたが、その後半世紀近く整備計画への昇格がなされず着工されませんでした。採算性の問題や国の優先順位の問題で後回しにされ、九州新幹線(鹿児島ルート)や西九州新幹線(長崎ルート)が先行したためです。また、地形的ハードルや沿線自治体間の調整の難しさも一因となり、結果的に宮崎は“新幹線空白地帯”として残りました。
A2. 宮崎県の目標では2045年前後に着工し、2060年頃の開業を想定しています。
ただしこれは県の試算上の目標であり、実際に国が整備計画決定し着工するかは不透明です。現時点では正式な開業時期は未定で、仮に順調に進んでもあと20~30年はかかる可能性があります。
A3. ルートによりますが、新八代ルートなら約1時間24分、日豊本線ルートで約1時間38分、鹿児島中央経由ルートで約2時間12分と試算されています。
現在は高速バス+新幹線(B&Sみやざき利用)でも3時間半以上、在来線特急だと4時間強かかるので、新幹線なら大幅な時間短縮となります。
A4. 現状、宮崎~福岡間に直通の新幹線はありません。代替として、博多~新八代は九州新幹線、新八代~宮崎は高速バス「B&Sみやざき」を利用するリレー方式が最速です。
例えば博多発7時台の新幹線に乗り新八代でバスに接続すると、10時半過ぎには宮崎に到着します(所要約3時間半)。
このB&Sみやざきの時刻表は宮崎交通やJR九州バスの公式サイトで案内されています。将来、新幹線が開業すれば博多~宮崎直通列車のダイヤが設定されるでしょう。
A5. 建設費の地方負担は主に県債(借入金)で賄い、返済に国の交付税措置などが講じられるのが一般的です。
すぐに県民税が大幅アップするわけではありません。
ただ、県の財政支出が増える分、他の行政サービスにしわ寄せが出たり、将来の財政硬直化につながる可能性はあります。
また並行在来線支援など間接的な負担も考えられます。長期的には県民一人ひとりが広く薄く負担を分かち合う形となるでしょう。
A6. 現状では基本計画通りの日豊本線ルートが王道と見られます。
宮崎県北・大分方面の支持も強く、需要予測や費用対効果も安定しています。ただし県は新八代ルートも有力な選択肢と位置付けており、時間短縮効果の大きさや費用の低さから経済界などはこちらも評価しています。
鹿児島中央先行ルートは初期投資を抑えられますが、博多直通に課題があるため今のところ優先度は低めです。
最終的には国の判断によりますが、宮崎県は県北・県南バランスの観点から日豊ルート推しの姿勢です。
A7. 新幹線は長期計画なので、それを見据えつつ現在できる交通改善も重要です。
例えば在来線特急の高速化(線形改良や新型車両導入)、高速道路・自動車専用道路ネットワークの拡充、宮崎空港路線の維持・増便などです。
宮崎~大分間の特急増発や、新燃岳トンネル経由で熊本方面への新道路整備といった案もあります。
また市街地交通ではLRTやBRT導入などの議論もあります。新幹線整備と並行して、まず10年以内にここまで改善するという短期プランを積み重ね、段階的に宮崎の交通ハンデを解消していくことが望まれます。
A8. 新幹線には劇的な利便性向上や経済波及効果が期待できますが、同時に巨額費用や在来線問題など課題も伴います。
要は使い方次第です。新幹線開業を生かして観光客を倍増させる、企業誘致を進める、住みやすい都市づくりをするなど、地域側の努力があってこそメリットが最大化します。
逆に何もしなければ、速くなっただけで終わる可能性もあります。宮崎に新幹線が来ること自体がゴールではなく、それをテコに地域をどう発展させるかが問われます。
新幹線は宮崎の未来を拓く大きなチャンスです。それを活かすも殺すも、私たち次第と言えるでしょう。
宮崎県の東九州新幹線構想は、長年語られてきた夢であり、今まさに一歩ずつ現実に向けて動き出しています。
記事の冒頭で掲げた結論の通り、新幹線は宮崎にもたらすメリットが非常に大きく、県民の希望は膨らみます。
一方で、その実現には多額の費用や厳しい条件、クリアすべき課題が数多くあるのも事実です。だからこそ、感情に根ざす郷土への愛着と、専門的な議論に裏打ちされた計画性の両輪で、この壮大なプロジェクトに挑むことが重要です。
宮崎県は今、国や他県との交渉、県民への啓発、そして将来世代への責任を胸に、この新幹線構想に取り組んでいます。実現までの道のりは長く、決して平坦ではないでしょう。
しかし、いつの日か宮崎駅に新幹線が滑り込み、多くの人々がそれを笑顔で迎える未来を思い描きながら、着実に準備を進めることが大切です。
夢を現実に──東九州新幹線が宮崎にもたらす明るい未来を信じて、今できる一歩一歩を積み重ねていきましょう。
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